
2026-08-15
甘い果実の衝撃が、夜を支配する赤
クルニ オアジ・デリ・アンジェリ2022
Wine Diary
何度も手を伸ばしたワインには、評価表だけでは説明できない理由がある。クルニを開けて最初に受けるのは、濃厚で甘い果実味の衝撃だ。熟れきった黒い果実の蜜がグラスいっぱいに波打ち、「果実味といえばこれに勝るものはない」と一瞬で思わせる。それでも、ただ豊かなだけでは終わらない。カカオ、乾いたハーブ、土、静かな樽の影が、その甘美さに細い輪郭を与え、マルケの赤い土と海からの風を思わせる緊張感を残す。もしこの一本のために空間を設計するなら、窓の外の光を低く抑え、深いボルドーの壁に海の反射だけを淡く残したい。飲むたびに少し違う表情を見せるから、日誌のように記憶へ重ねたくなる。大げさな記念日がなくても、自分にとって確かな一日を閉じるために開ける一本。実飲の記録に残す価値があるのは、味だけでなく、その夜の空気まで連れて帰ってくるからだ。
Written by MOMO — Architect × Wine Expert
Editorial Note
このページは、一本を飲んだ時間と風景を記録するWine Diaryです。日本で確認できる販売先がある場合は、下記からご確認いただけます。
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