ゴーストホース スペクター 2008 — MOMO Wine Diary

闇の中を駆ける、亡霊の馬

ゴーストホース スペクター2008

Wine Diary

紙のラベルは、ない。濃緑のガラスに直接エッチングされた、たてがみをなびかせる馬。ボトルそのものが彫刻であり、注がれる前から物語が始まっている。スクリーミング・イーグルをも超える価格で取引される「ナパで最も高価なカベルネ」は、しかし決して威圧的ではなかった。18年の歳月を経たタンニンは絹のように解け、黒スグリと杉、墨のような静かな余韻が、驚くほど長く続く。手にしたボトルには 105/288 の刻印。世界に288本しかない一本が、いま目の前で開いていく——その時間そのものが、贅沢だった。

このボトルは、造り手のトッド・アンダーソン氏と直接お会いし、ご一緒に開けたもの。「馬は自由の象徴だ」と語る氏の言葉と、グラスの中の深い闇色を、今も鮮明に覚えています。

Written by MOMO — Architect × Wine Expert

Editorial Note

このページは、一本を飲んだ時間と風景を記録するWine Diaryです。日本で確認できる販売先がある場合は、下記からご確認いただけます。

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